デンタルフロスは、歯ブラシの「前」に使うのがおすすめです。先に歯と歯のあいだの汚れをゆるめておくと、そのあとの歯みがきで汚れを落としやすく、歯みがき粉の成分も歯のあいだに届きやすくなります。

歯科衛生士の山崎です。「フロスは歯みがきの仕上げに使うもの」と思っている方が多いのですが、私は診療で「先にフロス、あとで歯ブラシ」とお伝えしています。順番を変えるだけで、続けやすさも変わります。
歯科衛生士 山崎フロスを「仕上げ」にすると、疲れた日にサボりやすいんです。先にフロス、あとは今までどおり歯ブラシ。順番を入れ替えるだけなので、今日から試せますよ。
なぜ「前」なのか:歯ブラシが届かない場所を先に開ける
歯ブラシの毛先は、歯と歯が接している面には届きません。フロスで先にその面の汚れをかき出しておくと、あとから歯ブラシで磨いたときに、ゆるんだ汚れが流れやすくなります。
もうひとつの理由は、習慣になりやすいことです。歯みがきのあとにフロスを回すと「疲れたから今日はいいや」になりがちですが、先に済ませてしまえば、歯みがきは今までどおりで済みます。
フロスの種類:初めてならホルダータイプ
フロスには、指に巻いて使う「糸巻きタイプ」と、持ち手が付いた「ホルダータイプ」があります。初めての方や奥歯が苦手な方は、ホルダータイプから始めると扱いやすいです。
- ホルダータイプ:片手で使える。奥歯に届きやすい。まずはこちら
- 糸巻きタイプ:1本で全部の歯に使える。慣れると細かく動かせる
- ワックス付き:歯のあいだに入れやすい。きつい所がある人向け
診療室でよくある例:歯ブラシは上手なのに歯のあいだだけ虫歯
(複数のご相談をもとにした、架空の例です)30代の女性で、歯みがきはとても丁寧なのに、奥歯の歯と歯のあいだにだけ小さな虫歯が繰り返しできる方がいらっしゃいました。お話を聞くと、フロスは「思い出したときだけ」で、月に数回だったそうです。
寝る前の歯みがきの前にホルダータイプのフロスを1日1回入れてもらったところ、半年後の検診では新しい虫歯はなく、歯ぐきの出血もほとんどなくなっていました。歯ブラシの毛先が届かない面は、フロス以外に掃除する方法がない、というのが実感です。
最初の1〜2週間は歯ぐきから少し血が出ることがありますが、続けるうちに落ち着く方がほとんどです。出血が続く場合は歯周病が隠れていることがあるので、歯科医院で確認してください。
歯科衛生士 山崎奥歯にフロスが届かないという方は、口を大きく開けすぎているのかもしれません。少し閉じ気味にして頬をゆるめると、ホルダータイプなら奥までスッと入りますよ。

使い方の手順:のこぎりのように、ゆっくり
- フロスを歯と歯のあいだに、前後に小さく動かしながらゆっくり入れる(勢いよく押し込まない)
- 歯ぐきに当たる手前で止め、片方の歯の面に沿わせて上下に2〜3回動かす
- もう片方の歯の面にも同じように沿わせる
- 取り出すときも、入れたときと同じように前後に動かしながら抜く
最初のうちは歯ぐきから少し血が出ることがあります。数日続けて落ち着くなら心配いりませんが、1〜2週間たっても出血が続く場合は、歯周病が隠れていることがあるので歯科医院で相談してください。
毎日が無理なら、まず「夜だけ」
フロスは1日1回で十分です。私がおすすめしているのは、寝る前の歯みがきの「前」に入れる方法です。寝ているあいだは唾液が減って汚れが残りやすいので、夜に歯のあいだをきれいにしておく意味が大きいからです。
今日からの手順(まとめ)
- 寝る前の歯みがきの「前」にフロスを用意する(初めてならホルダータイプ)
- 前後に小さく動かしながら、歯のあいだにゆっくり入れる
- 片方の歯の面に沿わせて上下に2〜3回、もう片方も同じように
- 入れたときと同じ動きで抜く。切れたり引っかかる場所はメモしておく
- そのあと、いつもどおり歯ブラシで磨く
よくある質問
歯科衛生士 山崎フロスは「できた日を増やす」だけで十分です。毎日できなくても、まず週に3日から。続けるうちに、歯みがきのあとに歯のあいだがスッキリしている感覚が分かるようになりますよ。
この記事は、歯科衛生士としての経験にもとづく一般的な情報です。痛みや出血、口臭など気になる症状が続くときは、自己判断せず歯科医院で相談してください。
参考にしたページ
- 日本歯科医師会「テーマパーク8020」(お口の健康に関する一般向けの解説)
- 日本歯科衛生士会(歯科衛生士の仕事と口腔ケアの情報)

