デンタルフロスは種類が多いのですが、選ぶ基準はひとつで、「自分が毎日続けられる形かどうか」です。汚れを落とす力は糸巻き型のほうが上ですが、指に巻くのが面倒でやめてしまうなら、ホルダー型を毎日使うほうがきれいになります。この記事では、形と糸の違い、はじめての 1 つの選び方、歯間ブラシとの使い分け、1 回あたりの費用を歯科衛生士監修で解説します。
なお、この記事は特定のメーカーから依頼を受けて書いたものではなく、商品の販売・紹介料も受け取っていません。
1. 結論: はじめての1つはこれ
- はじめてなら Y 字のホルダー型。奥歯まで届き、片手で使える
- 前歯だけなら F 字のホルダー型でも十分
- 慣れてきたら糸巻き型。歯の面に沿わせやすく、1 回の費用も安い
- 糸はワックス付きから。引っかかりが少なく、切れにくい
- 歯と歯の間に隙間がある場所は歯間ブラシ。フロスでは面積が足りない
形を変えると続くことがあります。「フロスが苦手」という方の多くは、糸巻き型を指に巻く手間で止まっています。ホルダー型に替えると毎日続く、というのはよくある話です。
使う頻度や、血が出るときの対処は デンタルフロスは毎日必要? で解説しています。
2. 形の違い(糸巻き型・F字・Y字・フロススティック)
| 形 | 特徴 | 向いている点 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 糸巻き型(ロールタイプ) | 指に巻いて使う。40〜200m 巻き | 歯の面に沿わせやすく、汚れを落とす力が高い。1 回あたりが安い | 慣れが必要。奥歯は口を大きく開ける |
| F 字ホルダー | 柄が F の形。前歯向き | 片手で使える。子どもにも持たせやすい | 奥歯には角度が付けにくい |
| Y 字ホルダー | 柄が Y の形。奥歯向き | 奥歯の間に真上から入れられる。はじめてでも扱いやすい | 1 本あたりの単価は糸巻き型より高い |
| 使い捨てフロススティック | 小型のピック型。片側がつまようじ状 | 携帯しやすい。外出先で使える | 糸の長さが短く、面に沿わせにくい |
| 電動フロス・ウォーターフロス | 水流で洗い流す機器 | 歯ぐきのマッサージになる。矯正中やブリッジに便利 | 歯と歯が接する面の汚れは落としきれない。フロスの代わりにはならない |
ウォーターフロス(口腔洗浄器)は補助として便利ですが、フロスや歯間ブラシの置き換えにはなりません。歯と歯が接している面のぬめりは、物理的にこすらないと取れないためです。
歯科衛生士 山崎フロスが続かない方には、まず Y 字のホルダー型をおすすめしています。洗面所ではなく、テレビの前でも使えるので習慣にしやすいんです。
3. 糸の違い(ワックス・エキスパンド・テープ)
| 糸の種類 | つくり | 向いている点 | こんな方に |
|---|---|---|---|
| ワックス付き | 糸にロウが塗ってある | 引っかかりにくく、切れにくい。狭い隙間にも入る | はじめての方、詰め物が多い方 |
| ワックスなし | ロウなし。キュッとした感触 | 歯の面の汚れをとらえる感覚が分かりやすい | 慣れた方 |
| エキスパンド(膨らむ)タイプ | 水分で糸が膨らむ | 隙間の広い場所で面積を稼げる | 歯ぐきが下がってきた方 |
| テープタイプ | 平たく幅がある | 前歯の広い面に沿わせやすい | 隙間が広い方 |
| 細い糸(フロアフロスなど多繊維タイプ) | 細い繊維を束ねてある | 歯ぐきの縁の汚れをからめ取りやすい | 歯周病のケアを意識する方 |
迷ったらワックス付きの細めの糸から始めてください。詰め物・被せ物が多い方は、ワックスなしだと引っかかって切れることがあります。
4. 主な製品ラインの位置づけ
ドラッグストアや歯科医院で手に入りやすいものを、タイプ別に挙げます。順位付けはしていません。
| 製品ライン | 形 | 位置づけ |
|---|---|---|
| GUM デンタルフロス(サンスター) | 糸巻き型・ホルダー型 | 手に入りやすい。種類が選べる |
| クリニカ フロス(ライオン) | 糸巻き型・Y字ホルダー | ドラッグストアで広く扱われている |
| DENT.EX ウルトラフロス(ライオン歯科材) | Y字ホルダー(糸の張り替え不可・使い捨て) | 歯科医院で扱われることが多い。奥歯に入れやすい |
| フロアフロス(オーラルケア) | 糸巻き型(多繊維) | 歯ぐきの縁の汚れをからめ取る目的で歯科医院で扱われる |
| リーチ フロス(銀座ステファニー)など | 糸巻き型 | ワックスあり/なしが選べる |
価格や入手先は変わるため、具体的な値段は販売店や各社の公式サイトでご確認ください。
5. 歯間ブラシとの使い分け
| お口の状態 | 向いているもの | 理由 |
|---|---|---|
| フロスがやっと通る(歯がぴったり接している) | デンタルフロス | 歯間ブラシは入らない。無理に入れると隙間が広がる |
| 食べ物が挟まる・隙間が見える | 歯間ブラシ | フロスでは面積が足りず汚れが残る |
| 前歯は密着、奥歯は隙間 | 場所で使い分け | よくあるパターン |
| ブリッジ・インプラントがある | 歯科で指示されたもの | 形状によって適した道具が変わる |
歯間ブラシの選び方は 歯間ブラシのサイズの選び方 をご覧ください。電動歯ブラシを使っていても、歯と歯の間のケアは別に必要です(電動歯ブラシの正しい使い方)。
6. 1回あたりの費用
| 種類 | 価格の目安 | 1回あたり |
|---|---|---|
| 糸巻き型(50m) | 400〜900 円程度 | 1 回 40cm 使うと約 125 回分。1 回 3〜7 円 |
| Y字ホルダー(30本入) | 300〜700 円程度 | 1 本を 1 回で使い捨てなら 1 回 10〜25 円 |
| フロススティック(単価) | 1 本 10〜30 円程度 | 携帯用として割り切る |
糸巻き型のほうが 1 回あたりは安いのですが、差は 1 日 10 円ほどです。続けられるかどうかで選んで構いません。
歯科衛生士 山崎ホルダー型は「1 本を 1 回で捨てるのがもったいない」と言われますが、口の中で 1 周させて水洗いすれば数回は使えます。糸がほつれたら替えてください。
7. やりがちな失敗
- ノコギリのように上下に動かして入れる(歯ぐきを切る。ゆっくり横に動かしながら通す)
- 通したらすぐ抜く(歯の面に沿わせて、前後の壁を 2〜3 回ずつこする)
- 同じ場所を何度も往復する(歯ぐきを傷める)
- 血が出るからやめる(炎症のサイン。やさしく続けると落ち着くことが多い)
- 毎回同じ場所だけ使う(全部の歯間を 1 日 1 回)
- 引っかかって切れる場所を放置する(詰め物の段差や虫歯のことがあるので歯科で確認)
とくに同じ場所で毎回フロスが切れる・引っかかる場合は、詰め物の段差や虫歯が隠れていることがあります。早めに歯科医院で見てもらってください。
8. 買ったあとの使い方(最短の手順)
- 糸巻き型は 40cm ほど切る(指先からひじまでが目安)。両手の中指に巻き、間を 2〜3cm 残す
- 歯と歯の間に、横に動かしながらゆっくり入れる。上から押し込まない
- 片側の歯の面に沿わせて、上下に 2〜3 回こする。歯ぐきの少し下まで入れる
- 反対側の面にも沿わせてこする(1 か所で 2 面)
- 横に動かしながら抜く。次の隙間へ移るときは糸をずらす
ホルダー型も同じで、「入れる」より「面をこする」が大事です。通すだけでは、歯と歯が接している面のぬめりは取れません。
- 奥歯は口を大きく開けすぎない。少し閉じ気味のほうが頬がゆるんで入る
- 鏡を見て、歯の面に糸を「沿わせる」角度を確かめる
- 引っかかる場所は無理をせず、歯科医院で段差がないか見てもらう
- 最初は 2〜3 か所から。全部の歯間を 1 日 1 回にするのは慣れてからでよい
歯科衛生士 山崎フロスは「臭いがついた場所」を覚えておくのがコツです。そこは汚れが溜まりやすい場所なので、次の検診で歯科衛生士に伝えると、見てもらえます。
9. デンタルフロスの選び方に関するよくある質問(FAQ)
10. まとめ
デンタルフロスは続けられる形で選ぶのが正解です。はじめては Y 字のホルダー型とワックス付きの糸、慣れたら糸巻き型へ。隙間がある場所は歯間ブラシに替え、引っかかって切れる場所があれば歯科医院で確認を。1 回あたり数円から数十円の差なので、値段よりも「毎日手が伸びるか」で決めてください。

歯科衛生士 山崎 明日海
経歴
小樽歯科衛生士専門学校 卒業
保有資格
・歯科衛生士歴5年目
・ホワイトニングコーディネーター資格あり
フリーランスの歯科衛生士として、ホワイトニングサロンオーナーとして独立。
また歯科衛生士の新しい働き方として、個人のSNSを起点に、キャリアアップを目指す歯科衛生士さんの応援やサポートをしている。

